今週は東京出張だ。
東に移動するにつれ気が重い。色んな想いが交叉するからだ。
東京の住居を引き払ってからはホテル住まいだが、それはそれで不便なところもある。
まず早朝のジョギングの着替えがないので結局走れない。大きな荷物を持って出張するわけにはゆかないからだ。
今日は国交省に行った帰りに有楽町まで歩いた。
途中日比谷公園を横切って行ったが、昼間は主婦がランチしている。日本の男性諸氏はせっせと働いているのに優雅なものだと思う。
アパレル企業のレナウンが中国企業“山東如意”に買収され日本の社員が苦労しているのを10/24日のNHKで知った。
2010年、一株120円で第三者割り当てを行いレナウンの41%の株式を取得し筆頭株主になったのだ。買収金額40億円である
レナウンは
1960年代より、若い女性向け衣料品メーカーとして人気を博した。
CMソング「レナウン娘」と「イエイエ」で馴染みの、「
ワンサカ娘」の曲といえば50歳代以上の人には記憶がよみがえってくるだろう。ポップなファッショナブルさと女性を全面的に押し出した内容であった。男性にとっては「ダーバン」ブランドがかっこよく、
アラン・ドロンを
TVCMに起用し人気を博したものだ。
2010年、買収された「山東如意」に対し、北畑社長はこんなことを言っている。
「山東如意はすぐれた会社で運営は日本側に任されている。子会社化との報道があるが、上下関係のないパートナーシップ。成長市場に打って出て企業価値を上げることが株主への回答につながる」
ところが現実はそう甘くはなかったと報道は伝える。甘い!
山東如意の会長・邱亜夫氏はレナウンに対しいきなり“渇”をいれた。
「我々が筆頭株主であることを忘れるな。今後は我々の指示に従ってもらう!」
「日本は何もかもが遅い。もっとスピードを上げろ!」
「日本人はまず、自分自身を変えろ!」
そうなのだ。経営など日本に任せられるわけもなく、明確な上下関係があり、企業価値よりも売上げ至上主義のグローバリズムの最前線に引っ張りだされたのだ。
既に優秀な社員は去り、株価は下がり基調である。凋落してゆく企業とはこのようなものだ。中国側はレナウンの培ってきたノウハウを最大限に吸収し、骨と皮になったレナウンを市場に裸で放り出す算段だろう。
名門レナウン、前例のない一部上場企業の買収劇は“たったの40億円”である。この位のお金が出せる日本企業はワンサカあるだろうに・・・。どこかおかしい。
恐ろしい現実をテレビで見るにつけ多くの企業は“明日はわが身”と身震いしたに違いない。グローバリゼーションの波に乗るために経営者は企業の将来像をしっかり見据え海外企業との競争に勝ってゆかねばならない。
業績悪化に苦しむレナウンのような老舗が対象になる例も増えそうだ。
教訓、
1、スピード感 2、危機感 3、変化に対応する機敏性
これが今日本の企業に求められているのだ。